スリランカとの出会いが背中を押した、私のキャリアチェンジ―――理学療法士からITの世界へ

エンジニア 神矢 紀よ実

2025.9.9

言語ゼロで飛びこんだ海外

「海外に出てみたい」―――大学生の頃から漠然と感じていた気持ちが、またじわじわと湧き上がってきたのは、社会人になって5年目の頃でした。当時、英語はTOEIC500点程度。自信が持てるというレベルでは、到底ありません。そんな中で、どうしたら海外に出ていけるのか。調べてたどり着いたのは、JICAの海外協力隊。当時、理学療法士として働いていたため、その資格を活かして、海外ボランティアへ行くことができそうだということがわかりました。

前述のとおり、英語はまったく自信がなかったため、海外ボランティアの中でも言語スキルが必要とされない地域を選択。こうして、スリランカへの赴任が決まりました。

一歩一歩の積み重ねを大切に過ごした2年半

日中は海外ボランティアとして、理学療法についてレクチャーしたり、現地の病院や訪問診療で実際に治療を行ったりしていました。スリランカでは、「理学療法」という概念や「理学療法士」という職業の歴史が浅く、当時はまだ数百名程度しか存在しません。そのため、これまで学んできた知識や実務で得た技術等を伝えるのが私の役割です。訪問診療では、重い障害を持つ患者さんや側で支える方へ福祉用具の支給を行い、日常の負担が軽減されるよう、使用法などのレクチャーを行いました。この他にも、病気の予防法を伝えるワークショップを行ったり、ミーティングに出席したりと、少しずつ役割が増えていきました。

語学面では、通訳の方を通して意思疎通を図っていたものの、スリランカの母国語であるシンハラ語はもちろん話せず、日常の簡単な内容ですら、伝えたいことが伝えられない。そんなところからのスタートでしたが、現地の人との信頼関係を深めるためには、“言語の習得が一番の近道”と、近所のローカルカフェやレストランに入り浸り、メモ帳を片手に日常会話の練習をしてもらっていました。仲良くなったら必ず誕生日を聞いて、相手のことを考え、できるだけ気の利いたプレゼントを選んで贈るようにするなど、言葉を教えてくれたお礼や相手への気持ちを、形としても表現するようにしました。現地の方々との関わり合いは私にとってとても貴重なものになり、時事・噂話・冗談など、教科書には載っていない生の言葉をたくさん知ることができたと感じています。このようにして日々の勉強を重ね、任期である2年半が過ぎるころには、日常生活に困らないくらいに、話せるようになっていました。

人の温かさに魅了されたスリランカ

スリランカの方々から受けた恩は数え切れませんが、思い出に残るエピソードがあります。熱中症のような症状でいつもの訪問診療を休んだ日のことだったのですが―――体調を心配してわざわざ昼食を包んで家まで届けにきてくれたことがありました。それだけでも十分ありがたかったのですが、私が体調を崩していることが近所で噂になり、沢山の方が果物やお菓子を手にお見舞いに来てくれました。包んできてくれた昼食はもちろん“カレー” (笑)「体調が悪い時こそカレー!」というカレー至上主義の文化には驚きましたが、他人―――ましてや外国人である私を家族のように心配し、駆けつけてくれる。“人と人の繋がりを大切にし、手助けを厭わない精神”に何度も何度も支えらたなと、このエピソードを振り返るたびに実感しますね。

スリランカでは、人と人の繋がりを大事にする文化が今も色濃く根付いており、日本では“おせっかい・プライバシー侵害”ともとれるような密接な関係性が存在しています。「与えるものが友達を作る」という仏教の教えから、“損得勘定で人と仲良くするのではなく、自分に有るものは人と分け合い、助け合う”習慣にたくさん助けてもらいました。これは真似しようと思ってもとても難しく、彼らを尊敬する理由の一つです。誰かに助けてもらう度に「私は何もしていないのに、なぜこんなに優しくしてくれるんだろう」と衝撃を受けましたが、一生分の優しさをいただいたので、いつかスリランカに恩返しがしたいと強く思っています。

また、スリランカの良いところは、良くも悪くも物事をはっきりと伝える、感情表現の豊かさ。好き・嫌いはもちろん、「これが欲しい」「助けてほしい」という要求にも正直で、「あなたは大切な人」「いつもあなたを想っているよ」というような日本では恥ずかしくなってしまうような感情表現も性別関係なく日常的に伝え合います。そのため、スリランカにいるときには、思っていることを素直に表現できて、複雑な人間関係に悩むことなく、オープンな気持ちでいられるような気がして心地が良いです。仕事終わりには現地の方々と一緒に食卓を囲み、おしゃべりをして、朗らかに過ごす毎日。私を家族のように慕ってくれる温かい人々に囲まれた任期の2年半はあっという間に過ぎ、スリランカが大好きになっていました。

日本で踏み出した新しい一歩

任期を終えて日本へ帰ってきてからは、再就職に向けて転職活動を行いました。再び理学療法士として働く道もなかったわけではありませんが、年齢的にも「いま、新しいことに挑戦してみたい」―――そんな気持ちがあったことや、「またいつかスリランカへ行きたい」といった思いがあり、思い切って異業種へ挑戦してみることを決めました。そんな中で、出会ったのが現在在籍しているアレックスソリューションズです。

ITと英語の掛け合わせを強みにしている会社で、社員はさまざまな海外経験を持っていて、多くの方がIT未経験から始めていると知りました。私自身もITは未経験でしたが、今後も長期的に成長が期待される分野で、日本と海外を繋ぐ仕事ができそうだと感じ、挑戦してみたいという気持ちが湧いてきました。また、海外研修事業部という部署があり、なんとスリランカにも支社が!―――「スリランカで働けるチャンスを掴めるかもしれない」そんなことも大きな決め手となり、入社を決めました。

ITの仕事に感じる魅力

現在は2社目の常駐先で、同じアレックスメンバーと一緒に医療レンズメーカーのネットワーク運用・監視業務を行っています。具体的には、フロント業務・サービスオーダーと呼ばれる、業務の振り分けやデータベース管理等を担っています。以前の常駐先ではネットワーク上の問題を実際に解決する役割を担っており、その経験や知識を活かすことができているため、移動後もスムーズに業務にあたることができています。また、常駐先には5名の先輩方が同じアレックスから常駐しているので、気軽に相談ができ、和やかなムードで業務に向き合えることがありがたいなと感じています。

理学療法士の仕事も大好きだったのですが、患者さんの人生や生活を支えることができるという大きなやりがいの反面、“答えのない問いで答えを探し続けている”ようなところがありました。人間相手―――答えは人それぞれなので、当たり前といえば当たり前のことですよね。ただ、今携わっているITの仕事は機械が相手。答えが明快ではっきりしている。だから、勉強のし甲斐があるなと感じています。理学療法士としては、正解がない分、はっきりとした成果が得にくいですが、ITの仕事では、できたかどうかがはっきりしているので、無事業務を終えられたときには“真っ直ぐに感謝してもらえること”が嬉しいですし、大きな励みになっています。

個性豊かな社風は福利厚生にも―――スリランカでの海外研修制度

業務以外でも、さまざまな福利厚生を利用して日々を充実させることができています。

最近では、「海外研修制度」を利用し、スリランカへ行ってきました!また行きたいとずっと願ってきたスリランカで3か月を過ごし、仕事から離れてスキルアップだけに時間を注ぐことができる―――そういう制度のある会社はまだまだ少ないので、本当にありがたいです。行かせてもらって本当によかったと感じるので、興味のある方にはぜひ利用してもらいたいおすすめの制度ですね。

研修中は決められた研修時間を除いて、比較的余裕のあるスケジュールとなっており、研修内容もカスタマイズできます。私の場合は、「マンツーマンの上級ビジネス英語の授業」「スリランカの高校生たちと受講するグループレッスン」「スリランカの現役大学生による家庭教師レッスン」「日本語を学ぶスリランカ大学生との語学交換」など、様々な研修をカスタマイズして、飽きることなく充実した3か月を過ごすことができました。自分の強化したいスキルに合わせて、授業を選ぶことができる点が魅力ですが、今回はスピーキングの向上を目標に研修に参加したため、どのレッスンでもアウトプットする時間を設けていただきました。積極的に意見を述べる意識をもって取り組めたことや、余暇の時間を使って現地の方々と交流できたことで、実りの多い研修にすることができたと実感しています。

スリランカへの貢献を夢に、力を蓄える

「またスリランカで働きたい」と、思い切って飛び込んだITの世界ですが、意外にもいまは「一人前のエンジニアになりたい」という気持ちをより強く感じています。スリランカが大好きだからこそ、いまの未熟な自分ではまだ役に立てないという気持ちがあり、いつかスリランカで役に立てる人材になれるよう、まずは、日本と海外を繋ぐブリッジエンジニアとしての自分を成長させたい―――そんな風に思うようになりました。

現在の業務とも関連する、ネットワークや情報システムに興味があるので、そういった分野でもっともっと幅広く、知識や経験を重ねてスキルアップしていきたいと考えています。また、海外研修事業部が手掛けるゴールプログラムやスタディツアーにも興味があるので、関わっていけたらいいなと思っています。

スリランカへの想いは変わらず胸にありますが、まずは日本と海外を繋ぐブリッジエンジニアとしての自分を確立する。そして、いつか一エンジニアとして、また、海外事業部の一員として、スリランカと繋がっていきたい。そのために、日々を大切に過ごしてきたいです。

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